海鳴公園。

柔らかな海風が吹くその一岸に、一つの魔方陣が浮かび上がる。

なのは、フェイト、はやて、シグナムは険しい表情でその中から降り立った。

『クロノくん、どこにいるの?災害のほうはどうなってるの!?』

なのはは、すぐに現場にいるはずであるクロノへ魔法で通信をつなぐ。

『ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、リィン、どこにいる?無事か?』

シグナムも家で待機をしている家族に通信をつないだ。

 

『なのは達か、ちょうど良かった。これからいうところに来てくれ。ヴィータたちもすでにここにいるよ』

『無事だぜ。今クロノに呼び出されたトコだ。シャマルとザフィーラもそこにいるよ。リィンは家で待機中だ』

集合する場所を告げるクロノの声に、フェイトは焦って聞いた。

「クロノ、災害はどうなったの?町の皆は・・・・・」

『とりあえずだけど、今はなんともないよ・・・・・詳しい説明をするから、集まってくれ』

「わかった、行こう、みんな!」

そう言って、なのは達は空を駆けて目的地へと駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Lyrical/stay night

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クロノ君!」

頭上からの声にクロノは振り返る。そこには地に降り立ったなのは達がいた。

「みんな、来てくれたか」

目的地のビルの屋上、そこにクロノと、さらに数名の魔道師がそこにいる。

「何があったの?クロノ」

フェイトは眺めてきた町に異常がないように見えたが、クロノが直接出向くほどなのだから安心できないでいた。

「あぁ、実は・・・・」

「次元震だよ」

クロノを遮るようにそう答えた赤いフリルのドレスを着た人形のような少女、ヴィータは空より屋上に降り立った。

「ヴィータちゃん!無事だったんだね・・・よかった」

「ったりめーだ、私がこんなんで死ぬかよ」

「次元震だと?どういうことだ?」

シグナムは眉をひそめて聞き返した。

「あぁ、ついさっきこの海鳴の上空に、とてつもなく巨大な魔方陣が現れ次元震をおこしたんだ」

「魔法で次元震を!?つまり、故意的に次元震を発生させたの!?」

思わず声を上げるフェイト。他の皆も、声は上げないもののクロノのその言葉に驚愕を隠せない。

次元震がなんだかを知っているだけに、恐怖すらも覚えている。

「ま、街の方は平気なんか!?海鳴のみんなは!?」 

はやてはすがるようにクロノへ問い詰める。

彼女には家族というべき存在は夜天の書より生まれしベルカの騎士達しかいない。

それでも、今まで彼女を支えてくれた友達、楽しかった思い出がるこの街の安否が気になってしょうがない。

「落ち着いてくれ、現れた、と言っただろう。今はもうその魔方陣も消えたよ。現在の考えられる状況は大きく分けて2つ・・・・・わかるか?」

クロノは2本の指を立ててなのはたちに問いかける。最初に答えたのはなのはだった。

「えっと、もう過ぎた後ってこと?」

「もう一つは、あくまで第一段階である、ということね。まだ完璧に納まったわけではなく、一時的な静けさかもしれない・・・」

なのはに続くようにフェイトが答える。魔道の勉強を誰よりも長くしているフェイトは、この手の魔法知識にも長けているのだ。

「え!?じゃあ私達がここにいるのって・・・・」

「・・・実は、結構危ない事だったりするんよね?」

「大丈夫よ、はやてちゃん、なのはちゃん」

冷や汗を流す二人に、後ろから柔和な声が響く。緑のロングのワンピース。金のセミショートの髪をした美女。

「シャマルさん、調査の結果はどうでしたか?」

総指揮官のクロノは守護騎士の一人、湖の騎士シャマルに問う。

「次元震の余波も、魔方陣の名残もすべてきれいさっぱり消えちゃっているわ。まるで最初から何もなかったみたいに」

シャマルは複雑な表情をしながらため息混じりに答えた。

「つーことは、もうこの災害は終わったって見ていいってコトかよ?せっかく駆けつけたのに・・・・」

「なにもないで無事なら、そのほうがいいよ。ヴィータちゃんは働き者だね♪」

「う、うるせーな!」

微笑みをかけるなのはに、ヴィータは顔を赤くして怒鳴る。もちろん、起こっているのではなくただ単に照れているのだ。

 

 

「さて、シャマルさんの捜索が正しければ、もうなにもないはずだが・・・・事が事だし、もう一度皆で調べようと思う」

「む、私の力だけじゃ信用できませんか?」

クロノのその言葉にシャマルはぷん、と拗ねた顔になる。その様子を見てはやてはくすりと笑う。

「そーゆーわけじゃないんよ。みんなシャマルのこと信じとる。でも、私達の住む町はやっぱり皆で守ろう、な?」

母親が子をあやす様に言うはやてを見て、なのはは感嘆したような声をあげた。

「おぉ、なんかはやてちゃん、最近ほんとにお母さんって感じがしてきたね・・・」

「うん・・・管理局でもリンディ母さんに次ぐ、若い子の恋愛相談役に認定されてるんだって・・・」

フェイトは管理局で聞いた噂は本当だったんだと改めて認識した。

「ま、そのせいもあってはやて自身に浮いた話がねーけどな」

ぼそっと呟いたヴィータの声にはやてはグリン、と首を向ける。

「ヴィータぁ〜、今日の晩御飯はどうしようかぁ?ピーマンの肉詰め、チンジャオロース、三色ピーマンサラダ・・・・どれがえぇ?」

素敵な笑顔を浮かべながら、素敵な詰問を迫るはやて。その顔は笑っていたが確かに背後には修羅のシルエットが見られる。

「ひっ?!は、はやて、ごめんなさいごめんなさいあやまるからそれだけは勘弁してぇ!!」

ヴィータは涙目になりながら必死に懇願する。その様子を見てフェイトはあははと苦笑する。

「えと・・・止めなくていいんですかね?」

「問題ないだろう。この程度は日常だ。それに・・・・」

「それに?」

「下手に主の怒りを買うと・・・・今夜の食卓にトロロが並んでしまう」

シグナムは苦い顔をして冷や汗を流す。フェイトはぽかーんとした顔をする。

「シグナム・・・トロロ嫌いなの?」

「うむ・・・・・どうもあのねばねばと痒みがな・・・・・」

「シグナムったら、トロロが出るといつもにらみ合いをするんだもの」

シャマルはニヤニヤしながら言う。それをみてシグナムはむっとした顔になる。

「ふん、おまえは嫌いなものがないからな・・・・その代わり、いつまでたっても台所には立たせてもらえないが」

「うっ・・・そ、それははやてちゃんが私を心配しているからでしょう?はやてちゃんと一緒にならわたしだって作るじゃない」

「さてさて、補助をしているのか、変な事しないように監視されているのか、どっちだろうな?」

ばちばちと火花を散らす美女二人。

そんな二人をみておろおろするフェイト。あははと苦笑するなのは。

ヴィータをいじり続けるはやて。もう泣きそうになっているヴィータ。

そこに、

 

 

「・・・君達、そろそろ仕事に戻りたいのだが、いいかな?」

何度も台詞をとられたあげく、まったく話が進められないことで、クロノがひきつった笑いを浮かべていた。

「「「「「「あ・・・・・・・・・・・」」」」」」

名前のごとく黒いオーラがなんか感じられるほどである。

やっぱ女性のおしゃべりはデュランダル(永久凍結)でも止められないよな〜とか思っているのだろう。

でも、口には出さないのがクロノの優しさ・・・だと信じたい。

「「「「「「「い、いえっさー」」」」」」」

それぞれピタリとおしゃべりをやめて敬礼をするみなさん。

お仕事は、まじめにやりましょうね。

 

 

 

「おほん、で、今後の大まかな方針だが・・・。まずは1週間ほど、アースラのほうからも含めて、余波、もしくは第二派の可能性を探す。君たちは、現地の細かい所、怪しい所を調べて原因の解明に努めてくれ」

すでにクロノとシャマルによって行われた事の反復ではあるが、今現在は他に出来ることがない。

なにしろ、情報が少ないのだ。まずは少しでもいいから情報を探すのに努めるというクロノの指示はごく自然のものである。

「えっと、じゃあ本部は・・・・」

遠慮がちに、しかしどこか期待を含んだなのはの声にクロノはあぁ、と返事をする。

「これより、地球の日本国海鳴市に捜査本部を置く。所在地はもちろん・・・」

みんなの顔がすこし明るくなる。仕事で離れがちな故郷への長期滞在。そして

「我が家、ハラオウン家だ」

仕事とはいえ、また家族や友達と会えるあの場所に行けるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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途中書きをく頃に

 

どうも、そろそろ執筆スピードが更新スピードに追いつかれてきそうな吟鳥です。

まだだ、まだやれる!・・・・・とか言いたいところだけど、受験もありこれからどうなるかわからないので、今のうちに出来る限り更新をしておこうと言う結論です。

次回はもう少し早めに更新します。

あと、作中に出たキャラ達の嫌いなものですが・・・・・こちらの捏造なので信じないでくださいね?w

基本シリアスしかかけない自分ですが、頑張ってなのはのほんわかさを出せるように頑張っていきたいと思います。