Arisa view

「お嬢様・・・・・」

 

部屋から出てきたところで、鮫島が私に声をかける。

「聞いていたでしょう、鮫島。一定以上の詮索はなしよ」

彼女達がそれを望んでいるのだ。ならば、それを邪魔するべきではない。

士郎の真摯な目を見て、アリサはそう決めていた。

―だから、彼らの服と部屋についてた盗聴器を外してきて、鮫島に渡した。

「しかしお嬢様、万が一彼らの狙いがお嬢様だったら・・・・」

「うるさいわね、その時はその時よ。それとも、発信機のほうも取ってきて欲しかった?」

彼女達の服につけた超小型発信機。それを今からはずして来ようかと脅す。

「・・・・わかりました。では、ひとつだけ」

そう言って鮫島はいつもの微笑みを消し少し重たい声で言った。

「彼らは、信用できますか?」

「えぇ。私の目に狂いはないはずよ。いいこと?これからは二人への警戒心をすこし解いてあげなさい」

鮫島の質問に、含みを持って答える私。鮫島は、少し考えた後に盗聴器をしまって

「かしこまりました。これより二人の警戒を「一定」レベルまで下げます」

そう言った

・・・・・・ホント、こっちの思惑を面白くないくらい理解するヤツね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Lyrical/stay night

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

other view

 

 

「さて・・・・・どうするの士郎?ここにご厄介になっちゃったけど?」

凛はアリサが出て行ったのを確認した後に、にっこり微笑んで士郎のほうを向いた。

・・・・・もちろん、悪魔の微笑みだったが。

「う、いや、だってあの顔は何言っても聞かない顔だったから・・・・」

その判断は、誰かさんの笑顔と比べての結果であることは伏せておく士郎だった。

「はぁ・・・・まぁいいわ。どちらにしろ拠点は必要だったしね」

ため息をついてこれだから・・・とか小さく呟く凛

「じゃ、この後どうしようか?」

「そうね・・・・。まずは細かい現状把握ね。大まかには同じみたいだから、図書館でもあればそこに行きましょう」

「そうだな・・・・・で、凛。気づいてるか?」

士郎は少し声を窄めながら凛に聞いた。

「えぇ、この世界って異常なまでにマナが濃いのね・・・・。使いたい放題じゃない」

「いや、そっちじゃなくて・・・・服についてる、コレのこと」

フフフと笑う凛に士郎は襟の裏にあるごみくずのようなものを手に取った。

「?・・・・そのごみがどうしたの?」

「まぁ、この大きさじゃそう思うだろうけど・・・・これ発信機だよ」

「!?・・・まぁ、当たり前か。早々すぐ信用されるわけないわよね」

凛の驚きは発信機をつけられたことに対してではない。その技術力に対してのものである。

 

彼らは、他人の信用が■■■■■だということを知っているのだ。

ソレは、彼らが闘いで得た知識であり、常識であり、闇である。

 

「ま、盗聴器類はないあたり、一応信用されてるのかな。あの子が嘘をつくとは思えないし」

「なんで嘘ついてないなんて、そんなことがわかるのよ?」

そう言って首をかしげる凛に、士郎は

「鏡をみて、自分の胸に聞いてみるといいよ」

そう苦笑した。

 

 

 

 

 

 

「ついたわね」

「ついたな」

そう言って、二人は図書館の前に立っていた。

―そこ、はしょりすぎとか言うな。

アリサから地図を書いてもらってやってきた図書館はごく普通の図書館。

「それじゃ、まずは歴史からかな?」

「じゃ、私は地理を調べようかしらね・・・・冬木市の存在も気になるし」

まぁないだろうけどね、なんていいながら凛はスタスタ歩いていってしまった。

出かける前にアリサに冬木市を知っているかと聞いたが知らないと答えられた。

「さて、俺も探しますか・・・・・・」

そう言って士郎も歴史のコーナーに歩き出す。

(しかし、ほんとに前にいた世界と変わらないなぁ・・・・マナ以外)

言葉が通じなかったらどうしようとか悩んでいた士郎だったが、母国語の日本語であったので安心していた。

凛の仮定だと、この世界は、造りは元の世界と一緒だが歩んだ歴史が違う、故に平行世界であるというもの。

その仮定を証明すべく、士郎たちは図書館で「この世界の一般的なもの」について、つまりはこの世界のあり方について調べることにしたのである。

「さて、まずは近代から・・・・・・ん?」

士郎はふと、歴史のコーナーにいる少女に目がいった。

深い藍色の髪、それに相反するような白い制服。パッと見だと教会のシスターのような少女。

少女は、図書館の梯子を使い最上段の本をとろうと背伸びをする。

「あとちょっと・・・・・・・あっ!

少女の足が、梯子からずり落ちた。

不安定な梯子の上で背伸びをして、バランスを崩したのだ。

少女は運動神経がいいのだが、さすがに突然で対応できない。

「同調、開始」

そして、それに対応した一人の少年が走りだしていた。

足を強化して、その場へ駆けつけ

「どはっ!?」

盛大にこけた。そして、それは梯子の手前。つまり・・・・・

「きゃ!?」

上から、少女が降ってきた。

「がふっ・・・・・・」

「あれ?・・・・・・あぁ!すいません!!!」

痛みを感じなかった少女は不思議に思ったが、下敷きになっている少年をみてあわてて立ち上がった。

「いや、大丈夫だけど・・・・・そっちは大丈夫?」

その言葉で、彼が自分を助けてくれたのだと少女は気づいた。

「あ、うん。ありがとう・・・・ごめんなさい、私のせいで怪我しちゃって・・・・・」

少女はポケットからハンカチを取り出し、士郎に手渡そうとする。

「ん、平気平気。そっちは大丈夫?」

「はい、おかげさまで」

にっこりと笑う少女。「男の子に乗っかっちゃった・・・」と小さく呟き、その頬がちょっと赤くなっていることに士郎は気づかない。

「最上段の本をとろうとしたの?司書さんにでも頼めばよかったのに・・・・」

「なんだか、忙しそうだったので声をかけづらくて・・・・すいません、ご迷惑をおかけして」

ペコリとお辞儀をする少女。

「あの、あなたも何か本をお探しなのですよね?」

「あ、うん。世界史をちょっとね」

「でしたら、お手伝いします。私、良くここを利用するのでどのようなのが欲しいのか言ってくれればわかりますから」

にっこりと笑う少女。まるで本物のシスターのような心やわらかい少女である。

・・・・・まぁ、士郎のいた世界のシスターがまともじゃないのが多かったのだが。カレー狂とかSM女王とか。

「いや、大丈夫だよ。それに、どんなのとか決めてないし・・・・」

「助けてくれたお礼です。させてください。世界史なんてたくさんあって大変ですから」

「でも・・・・・」

恩と礼の無限ループ。お人よしな二人なだけに終わりが来なそうだが・・・・。

 

「こんなところで、なにをしてるのかしら?士郎」

 

終わりは訪れた。いや、この場合終焉と呼ぶべきか。

後ろからやさしく、タメの効いた、悪魔のようなオーラが漂う。

「り、凛・・・・・いや待て、これには」

「女の子と雑談なんていいご身分ね?士郎の意外な趣味発見しちゃったかしら?」

「え?あの、その・・・・・」

少女はわけもわからずおろおろする。目の前でいきなり(一方的な)険悪な雰囲気になっているのだから当然だ。

「んな暇があるなら・・・・・きちんと探せ!」

「どべらっ!?」

胸板に入るひじ。変な声を出しながら士郎は倒れた。

「ほら、調べたいことはもう大体わかったから帰るわよ。返って情報整理するわよ。さっさとしなさい」

「ま、て・・・襟を引きずるな・・・・首が・・・・・」

「はいはい、さっさと行くわよ」

凛は士郎の襟をつかんで歩き出す。士郎は心なしか顔が青くなったまま引きずられた。

「あ、あの!」

ぽかんと傍観していた少女が、凛にむかって声をかける。

「あ、ごめんなさいね、コレはもう連れて行くから。引き続き読書を楽しんでください」

いまさらながら猫を被って声をかける凛。すでに本性を見た少女に向かってやるあたりが図太い神経である。

「えっと、そうじゃなくて・・・もう本はいいのですか?」

「えぇ、お気遣いどうもありがとう、えぇっと・・・・」

「あ、私、月村すずかです」

そう言って少女、すずかは笑顔で答えた。

「そう、私は遠坂凛、コレは衛宮士郎よ。それじゃ月村さん、私達はお邪魔するわね」

そう言って、ズルズルと士郎を引っ張りながら図書館を去る凛と士郎。

すずかはその後姿を苦笑しながら眺めて見送った。

面白い人たちだなと本棚に向き直ったとき、ふと思った。

「ここらへんにあんな目立つ二人いたかしら・・・・・?」

疑問に思いもう一度彼等の方を向いた時には、すでに彼らの姿は見えなかった。

 

 

 

 

 

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途中書きは犬も食わないわ

 

しばらくぶりです。頭の中から試験中でもSSのネタとふぃぎゅ@メイドの曲が離れない吟鳥です(ぇ

上の分離線はソレの影響なのであしからずw

さて、りりなのキャラ影薄選手権一位を獲得できそうなすずかさんの登場です。

自分としては、高町家族を出したいのですが、あれはトラはの範囲なうえ、組み合わせが難しそうなのでやめておきます。すんまそん。

ちなみに、すずかさんの出番も、もうほとんどありません。すんまそん。

それと、これから受験期に入り、忙しくなり更新も難しくなりそうです。すんまそん。

なんか色々謝ってますね。すんまそん(ぉ

でわ、次の更新をするまで頑張りますか!!