声が、聞こえる

誰かが、呼んでいる

あなたはだぁれ?

わたしのことなの?

返ってくるのはおんなじ疑問

問いかけて問いかける

繋がっているのは縁

結びつける絆

私達は、一本の赤い糸

途切れない、千切れない糸の結び目

 

 

 

 

 

 

似夢〜青葉∽プリムラ〜

 

 

 

 

 

女の子は、今日も彼のお兄さんを起こしに行く

彼女は、今日もお兄さんに朝ごはんをご馳走する

それは、彼女が唯一彼に積極的になる事

それは彼女だけが彼にしてあげられる特権

表情にこそ出さないが、階段を上がる速さがソレを物語る

出来るだけさりげなく、朝の時間を共にするべく声をかける

ドアは起こさないように静かに開ける

ドタドタとする音を聞いて彼女はクスリと笑う

起こすために、起こさないように

あえて、この時間でドアをノックする

ドアを開けた先には、いつものような静かな一枚画

開いたドアの先にはいつもの笑顔がある

『zzzz・・・・・』

『あれ?こんな時間にこんな場所でどったの?』

そんな風景に、小さな喜びを覚えながら彼の元へ向かう

その顔に、淡い気持ちを寄せながら彼女は笑顔で言う

『リン・・・・・起きる』

『あのねお兄ちゃん、朝ごはんがまた少し余ってるんだけど、食べる?』

丁寧に、だけどギュット強く握りながら彼を揺する

彼女の中で何度も練習された言葉が、そのまま紡がれる

『う、うぅぅん〜・・・・・』

『え?いいの?』

難しい顔をしながらうなる彼をユサユサを次第に大きく揺する

明るく人懐っこいその顔に彼女も鏡のような笑顔で答える

『リン・・・・ゴハン・・・・遅刻する・・・』

『もちろんだよ、じゃあ、一緒に食べよう?』

そう言って彼の上にまたがって馬のりみたいに大きく揺する

彼女は彼の手を引いて、自分の家へと招待する

『かえでぇ〜、もうちょっとだけぇ〜』

『シゲさんもいるんでしょ?楽しみだなぁ』

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

なんていうか

なんだろう

今の一言に

デリカシー皆無なその言葉に

その子はいつも以上に冷たい感じになっていた

彼女は訳もわからずムッときていた

その子はベッドの淵の上に立つ

彼女は彼の手をとる

そして、そこから彼の上へダイブ

そして、その手をそのまま彼女の胸元へ

ドシン

ギュッ

『ぼぐどぅあ!?』

『らりるれ炉李?!』

奇声をあげて目を覚ます彼、飛び起きて周りを確認する

妙な台詞を叫ぶ彼、あまりよろしくない台詞は流しておこう

『リン・・・・はやくおきる』

『お父さんは泊りで出かけてるもん・・・』

『プ、プリムラ・・・なんで今日は厳しいんだ・・・?』

『そ、そうか!じゃあ朝から酒を飲まされなくてすみそうだなぁ』

『・・・・・・・知らない』

『・・・・・・ふんだ』

そういって、女の子は顔を背ける。

そういって、彼女は頬を膨らませる。

それでも、女の子は彼の上をどかない。

それでも、彼女は彼の手を強く握ったまま。

そこには他の人には諮らない彼女の意思表示。

それは彼女の積極的な、でもちょっと隠した意思表示

彼の傍にいたい。そんな想いが見え隠れする。

彼の隣にいたい。そんな気持ちを伝えたくて。

『あ、そうだ。プリムラ』

『あぁ、そういえば・・・青葉ちゃん』

彼はふと思い出したような顔をして

彼は今思い出したような声を出し

『おはよう』

『おはよう』

そういって、にっこり微笑んだ。

そういって、優しくはにかんだ。

いいお兄さんだなぁ。

・・・・いいおにいちゃんだ。

『うん・・・・おはよう』

『うん!おはよう!おにいちゃん♪』

女の子の顔が少し和やかになる。

彼女の顔が温かいものになる。

こうやってすごすいつもの朝。

いつもと同じような朝の風景。

それだけでも、いや、それこそが彼女の求める日々。

いつまでも続いてほしいと願う、幸せな日常。

その日々の柱であるのが彼。

そんな日常を創っているのが彼。

いいなぁ・・・・・。

いいな・・・・。

朗らかな自然な関係の二人。

初々しく、可愛らしい表情をする二人。

手を頭に乗せ、愛おしそうに撫でる。

繋いだ手を、たどたどしくも離さずにいる。

距離の近い二人を見て、私はふと思う。

その特別な関係が垣間見れる雰囲気に、私はふと思う。

もし、私と■■が二人みたいな関係だったら

もし、私と■■がこんな関係だったら

家族だからと気兼ねすることなく愛することが出来るだろうか。

もっともっと、彼女らみたいに近しい関係になれるだろうか。

・・・違うよね。

・・・・・ううん、そうじゃない。

私は私だから、■■と一緒にいられるんだ。

私が私じゃないと、■■と一緒に過ごせない。

こんな関係だからこそ、私は日々を過ごせるんだ。

そんな繋がりがあるから、私は一緒にいられる。

・・・まぁ、ちょっと妬いちゃうかもなぁ。

・・・でも、羨ましくないといったら嘘になる。

だから私は、私として彼女達みたいになろうと努力しよう。

だから彼らは、羨むだけじゃなく、憧れとして目指すべき存在にしよう。

それならきっと、いつか辿り着ける気がするから。

そうやって、一歩ずつ前に進んでいこう。

・・・・あ、夜が明ける。

コレにて閉幕。

いいえ、コレは幕間。

終りは更なる続きを綴る。

それでは、

願わくば、

 

さらに甘美なる、理想の世界でまた合いましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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我思う。ゆえに、あとがきあり

 

 

さって、そろそろ遅れたことを謝るのもいいかげんウザいかとおもわれつつも、

おくれてすいませんっす(土下座

こんちはっwfate hollow ataraxiaが終わってスパイラル・ラダーと共に昇天している悲恋の吟遊詩人です☆

さて、残すはあと二人になったこのSS

さすがにもう誰がペアになるかわかるでしょうねwwwっつか、元々は彼女らのためのこのSSだし(笑

長期休暇ゆえの余裕に惑わされぬよう、淡々と仕上げて逝っちゃおうと思います。

皆様の声援やヤジによる後押しをバンバン募集ですwwww

体も心もガラス細工だからねっ・・・・・はいそこ、信じらんねーみたいな顔しない。

防弾ガラスならOKだよね?(滅

ともあれ、あと二作、気合を入れて頑張ります。